【甲状腺専門クリニック】 バセドウ病、橋本病、甲状腺癌(がん)、その他の甲状腺疾患などの専門クリニックです。
よく免疫がついた!とか抵抗力がついた!など日常でも表現することがあると思います。その際に抗体を作ります。この抗体のお蔭で二度目の細菌やウイルスが体内に侵入しても速やかに対応できるのです。
しかし、何らかの原因で自己に対して不適切な対応(免疫異常)をする抗体=自己抗体によって生じる病気を自己免疫疾患と言います。
甲状腺ホルモンは新陳代謝を活性化するホルモンで全身に影響を及ぼします。
ですので甲状腺のホルモンが多過ぎると、全身に甲状腺の作用が強くなりすぎて以下のような症状が出現します。
周りの人と比べて暑がりである(夏が苦手)。
汗っかきである。
すぐに疲れてしまう。
すぐに動悸がする(心臓がバクバクする)。
すぐに息切れがする(呼吸がハアハアする)。
何かと落ち着きがなく、イライラしてしまうことが多い。
食欲旺盛でよく食べているのに、体重が減った。
手足が震えてしまう。
頸の腫れを自覚するようになった。
眼球の突出を自覚するようになった。
いかがでしょうか?
もし、御心配な症状があれば当院に御相談ください。
では、甲状腺のホルモンが多すぎる時の病気を御紹介致します。
甲状腺ホルモン過剰症(甲状腺機能亢進症)の代表疾患です。甲状腺にホルモンを産生させるよう刺激をする自己抗体(TRAb,TSAb)が原因です。その結果、甲状腺から無秩序に甲状腺ホルモンが産生され甲状腺のホルモンが多すぎる時の症状を生じます。
内科治療、放射性ヨード治療、外科治療から選択しますが、どの治療も一長一短であり甲状腺専門医と御相談を十分になされた上で治療法を選択していただければと思います。
簡単に申し上げれば、甲状腺ホルモンの合成と分泌を減らす薬を内服していただく治療です。約2か月前後で甲状腺ホルモンは基準値内となり、徐々に内服量を減量します。内服量を最少量にまで減量しても甲状腺ホルモンが基準値内で自己抗体(TRAb,TSAb)が陰性になると内服中止を検討します。おおよそ、ここまで2年間程度を目安にしています。実は内服治療を終了してもバセドウ病が治った(治癒した)とは申しません。このような状態をバセドウ病の自然寛解と言います。残念ながらバセドウ病が治(おさ)まった状態で、バセドウ病が再発してしまう方も少なくないのです。
利点は何より他の放射性ヨード治療、外科治療と比較して薬を内服するだけですから簡単であるということです。
欠点は、内服開始後の約2-3カ月以内に約0.5%の方に無顆粒球症(=白血球がほとんどなくなり重大な細菌感染を生じます)、約3%の方に肝機能障害やじんま疹を生じるため、内服開始後2カ月は約2週に1回血液検査をする必要があります。それ以降は約2週に1回の採血は不要です。ただし、バセドウ病の再発の方で以前は無顆粒球症などの副作用がなかった方でも休薬期間があったので再び約2週に1回血液検査をする必要があるということです。
続きを見る
甲状腺はヨードを原料に甲状腺ホルモンを産生するために甲状腺にはヨードが集積しますが、私たちの身体は それ以外にはヨードは必要とせず、尿や便として体外に排泄されてしまいます。そこで、ヨードに少量の放射線を付けたカプセルを内服すると、甲状腺にヨードが集積し甲状腺だけが被爆した状態になります。この原理を用いて甲状腺を破壊してバセドウ病を治療します。
利点は一回カプセルを内服さえすれば内科治療と比べて短期間で甲状腺ホルモンを是正でき、外科治療のように傷跡が残りません。アメリカでは医療費の影響もあり治療の第一選択とされているほどです。
欠点として甲状腺を破壊してしまうので逆に甲状腺ホルモンを補充しなければなりません。また、原則として放射性ヨード治療後6か月間は避妊が望まれることや18歳未満の方には禁忌とされているなどの適応もあります。
ただし、放射性ヨード治療が有効な治療法と選択なされた際には、信頼ある連携関係のある東京女子医大(放射線科)や甲状腺専門病院に御紹介するのみならず、その後の経過もフォローさせていただきます。
続きを見る
外科手術にて甲状腺を摘出する治療です。近年、バセドウ病の治療のみに外科治療を選択することは少なくなりましたが、有効な治療法と選択なされた際には、信頼ある連携関係のある東京女子医大(内分泌外科)や甲状腺専門病院に御紹介するのみならず、その後の経過もフォローさせていただきます。
甲状腺の破壊により甲状腺ホルモンが漏れ出てくるために甲状腺のホルモンが多すぎる時の症状を生じますが、なぜ甲状腺が破壊されるかは現在のところ不明です。橋本病の方々に生じると考えられています。
2カ月前後で自然治癒しますので、甲状腺のホルモンが多すぎる時の症状に対しての対症療法のみで十分です。しかし、時にバセドウ病と誤診され抗甲状腺薬を投与されてしまうことがありますので甲状腺専門医に診てもらった方が安心でしょう。
甲状腺(頸部)に痛みを感じます。この痛みの炎症により甲状腺ホルモンが漏れ出てくるために甲状腺のホルモンが多すぎる時の症状を生じます。
炎症を抑える内服治療により2カ月前後で軽快しますが、稀に甲状腺癌(がん)などの痛みであったり、診断治療にも経験が必要ですので甲状腺専門医に診てもらった方が安心でしょう。
ちなみに、この痛みは移動することが知られています。
このほかにも薬剤性甲状腺ホルモン過剰症など甲状腺のホルモンが多すぎる病気は様々あることが知られていますが、頻度が少ない疾患ですので治療経験の豊富な甲状腺専門医に診てもらった方が安心でしょう。